集中力が少ないのか、自分の部屋ではなかなか勉強に没頭できないのに対して、図書館の学習コーナーではみんな集中して勉強しているので、その静まり返った空気に流され自ずと集中力が増すからである。
そして今日も僕は図書館で学問に励む。
どの机の上にも参考書、テキスト、ノート等の資料がひしめき、聞こえてくる音といえばノートに擦れる鉛筆の音と、ページをめくる書物の囁きだけだ。
しかし、そんな静寂ともいえる学びの空気に流されず、背筋を凛と伸ばし、持参したコミックを机上に重ねる一人の少年に目が止まった。
なぜ彼はわざわざ大量のコミックを持参し、学習コーナーという学びのサンクチュアリで漫画を読んでいるのだろうか?
僕は一瞬 「コミックなら家で読めばいいのにっ」と思ってしまったのだが、彼の読んでいた漫画のタイトルを見た刹那その感情は一変した。
「ドラゴン桜・・・」
・・・彼は東大を目指している・・・・・のか?・・・
もしそれが事実なら、ドラゴン桜を読むことは彼が東大受験挑むにあたっての一番の学問かもしれない・・・
そう思えば、彼にとって「ドラゴン桜」はこのサンクチュアリで広げるるにふさわしい書物である。
一見色物に見える彼も、自分の哲学に従い真剣に物事に取り組んでいる。
周りの空気に流されず、凛とした表情で漫画を読む彼の姿はどこか羨ましく、周りの流れを気にしながら勉強しようとする自分の姿が、なにかとても恥ずかしくなった。
