シャムが操るトゥクトゥクに揺られる。
遺跡の町シュムリアップを離れるに比例して荒れていく未舗装道路に揺られ、雨季の木漏れ日のような日差しの中、一路トンレサップ湖へ。
トンレサップ湖は雨期と乾期でその大きさが大きく異なり、雨期は乾期の3倍もの大きさになるらしい。
現在は雨季なのであたり一面水浸しである。
湖まで来てただ眺めて帰っては、くるくる寿司で寿司を取らないようなものだ。
僕達はボートクルーズに参加する事にした。
一人20$という高額な料金を支払いボートに乗る。
ガイドはなまった英語を話す少年、名前はアレックスといいトカゲ顔18歳だ。
トンレサップ湖周辺は雨季になると冠水するため、高床式住居か船を住宅にして村人が暮らしており、その数は想像も出来ないほどおびただしい。
「ここまだ河。あそこから湖」とアレックスがしきりに説明してくれる。
このアレックスという少年は、普段は学校に通っていて、学費が月20$かかるらしい。
だから休みの日はガイドとして働いているのだという。
湖の上には、住居を始め教会や学校、食堂やみやげ物やなど様々な施設が整っており、予想通り完全に観光化して複雑な気分・・・
アレックスは船を一つの住居につけ、「ちょっと見て行け」という。無抵抗に駄菓子屋のようなところに連れてこられた僕、「コラコラまだお腹は減っていないよ」と思ったその時、店員がこういった。
「これ、学校の子供達に寄付しろ・・・」
???
よく見るとお菓子が数十個単位でしか売っていないではないか。
しかも安いシリーズで5$
「ふざけんじゃねー」
この国の平均月収は70$。
完全にぼったくりである。
そもそも寄付とは強制的なものではないはず。しかも観光客みんながお菓子ばっか子供に食べさせると、若年成人病になるのではないのか?
これを理由に店員をスルー、アレックスに船を出させる。
その後もたらいに乗った少年達に「1$プリーズ」とたかられ、大人たちも完全に演技じみた物乞いをしているので一気にテンションが下がる。
あげくの果てにはガイドのアレックスが「学費が足りねーからチップくれ」と言い出す始末・・・
「トカゲ・・・お前ホントは学校なんか行ってねーだろ」
廣瀬幻滅・・・
いや待て、腹立たしい出来事を初めから外の世界のせいにするのは人間の良くない癖だ、まずは何故腹が立ったのか自分の観念に問いかける必要がある。
その感情を作り出したのは、紛れもなく自分自身なのだから・・・
人のせいにする前に、まずは自分を変えればいい。
そして僕はトカゲ野郎・・・いやっアレックスに笑顔で1$手渡した。
アレックス 「イッツ スモールチップ・・・」
・・・殴ってもいいですか・・・
その後も付近の遺跡に行くと、田舎のヤンキーに絡まれそうになったり、POLICEと書いた帽子を被ったPOLICEではない兄ちゃんに後つけられたり・・・
間違いなくここの人たちは観光客からどうにかお金をぼったくろうと必死な様子が伺える。
気持ちは分からなくもないが、それを続けるにつれいずれ観光客は減っていくだろう・・・
僕達の帰りを待つドライバーのシャムは真っ先に僕達を見つけてはるか遠くから手を振ってくれる。「待たせて悪いね」と言うとハニカミながら、「とんでもないよ、僕の仕事だから」と言う。
毎晩夕食の心配をしてくれたり、洗濯の世話をしてくれたり・・・
この国はの人たちは、良い人とそうでない人のコントラストがあまりにも激しい・・・
シャムとの別れの際
「もしシャムが日本に来る事があったら、僕の車で君を案内するよ」
つたない英語で僕がそう言うとシャムがこう返す
「日本は物価が高いから行けないよ・・・でももし行く事が出来たらよろしく頼む。もしもう一度ここに来る事があったら必ず僕に教えてくれ」
「もちろんだ。」
僅かな可能性しかない会話であるが、そんな会話にお互い笑みがこぼれる。
「また会う日まで GOODLUCK マイフレンド・・・」
そう言いあって笑顔で大きく手を振った。



posted by YO-HEY!! at 23:21| 兵庫 |
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