暗いうちに車で登れる地点まで登り、夜明けと同時に紅葉を少し過ぎた山道を歩く。
薄暗い朝の空は薄い墨汁が染み込んだ様にまだらなグレーを保っている。僕達は非現実的な山道をただただ歩く。
途中山小屋に寄り道しながら2時間ほどで山頂に到着した。
山頂は登ってきた方角の逆側からの風が強く、汗ばんだ身体の体温をどんどん奪っていく。
「よし山小屋で休もう。」
僕達は山小屋で少し身体を休めることに決め、中で火を起こそうと格闘していたその時、友人のチンちゃんが一点を見つめ一言呟いた。
「ぼっ僕・・・エライもの見つけてしまった・・・」
「どうしたんだい」と彼の視線の先を見つめると、そこにはなんと今世紀最大の人の汚物「ウ○コ」が僕達を見つめているではないか。
「このフォルム・・・この威圧感・・・マチガイナク人の仕業だ・・・」
生後数日以内であろうそれはいかにも生々しく、登山者が身体を休めるこの聖域の真ん中でなぜこんな事が出来るのか!!!という怒りが僕達にこみ上げる。
しかも外にはちゃんとトイレが作られているのに・・・
最悪な気分である・・・
「もう山を降りよう・・・」
僕達は下山を決めた。
下山途中、「早いねー」と後から上ってきたハイカーの皆さんと挨拶を交わす。
僕は心の中で叫んだ。
「あれは僕じゃありましぇん・・・」
僕は朝の登山と言うのは、気持ちいいものだと勝手に決め込んで頑張って山に挑んだが、前述の諸事情によりこの経験は非常に苦いものとなった。
そして、人生のカラクリを再確認した。
「頑張るだけで報われるものではない。」
頑張れば報われるとよく言うが、僕はそうは思わない。
闇雲に頑張るのではなく、何が自分にとって幸せをもたらすかを感じとり、しっかり行動に移すことが大切だ。
今回の経験は苦いものとなったが、時が経てまた同じ友人と山を登ることがあれば、今回の苦い思いが笑い話になるだろう。
そう笑えた時、今回の苦い経験を喜びに変えられるのだと僕は想う。
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